奥河董馬(おくがわとうま)です。瀬戸内海の弓削島にある弓削商船高等専門学校情報工学科の3年生です。上島町で育ったので進学先選びは簡単でしたが、プログラミングを本格的に始めたのは1年生の3月(2025年3月)、資格試験でSQLを勉強していたときでした。研究を始めたのも同じ2025年です。
二つの軸
取り組んでいることは二つです。暗い場所でもカメラが見えるようにすること、スマートフォンに人の動きを理解させることです。
一つ目は低照度画像強調です。主流の深層学習はGPUとクラウドが前提ですが、私が動かしたかったのは夜間の工場や災害現場など、CPUしかなく映像を外に出せない環境でした。そこでRetinex理論に立ち返り、学習不要の手法を重ねてきました。高速な単一スケール版に始まり、LEADING EDGE 四国で夜間用ドローンの開発計画「NOVA」向けに作ったXCRと、その不安定さの原因が数式の置き方にあったと突き止めて作り直したSD-Retinexが主な成果です。
二つ目は恩師から始まりました。2年生のとき、研究に誘ってくださった教官が弓道部の顧問だったので、姿勢推定で「会」を検出しフォームを採点するアプリを作りました。2025年の学会で、外部のAPIに頼ったコーチング文では弓道の知識が足りないと指摘され、自分でモデルを作り始めました。
端末の上で完結させる
共通するのは、目の前の端末だけでクラウドなしに動かすという制約です。この制約が結果的に事業になりました。
2026年1月に「Second」を立ち上げ、離島の小中学生向けのオンラインプログラミング教室を始めましたが、4月に方向転換し、5月に閉じました。技術ではなく、自分から売り込みに行く一歩を踏み出せなかったことが原因で、研究とも無関係でした。続く二つの事業は、すでにあった研究の上に立っています。
Beaconは、SD-Retinexが本来目指していた用途で、暗い工場の現場をインターネットにつながないエッジAIで点検します。Kyudo AIは弓道の研究を製品にしたもので、スマートフォンだけで完結し、映像は端末の外に出ません。
これから
2027年3月には、Beaconで起業家甲子園、Kyudo AIでリーンローンチパッド全国大会と、二つの決勝が控えています。2026年10月にはIEEE GCCE 2026で、関西大学の井下敬翔さんと、消滅可能性自治体をクラスタリングと小規模言語モデルで捉え直す研究を発表します。上島町もその一つです。
高専生へ伝えたいことを聞かれ、「挑戦はいつからでも大丈夫」と答えました。プログラミングを始めたのは遅かったですが、それでもここまで来られました。エッジAI、低照度画像強調、スポーツ動作解析に関わる方は、LinkedInかGitHubからご連絡ください。