プロジェクト事業
Beacon
工場やプラント内部の暗所を点検する完全閉域網型エッジAIシステムで、Tongaliビジネスプランコンテスト2026で4賞を受賞

Beaconは、工場のフロアやプラント内部のような暗い環境を点検するための、完全閉域網型のエッジAIシステムです。照明が乏しく、手元の計算機は普通のCPUで、映像を外部に持ち出せない現場を想定しています。現在の低照度画像処理の多くはGPUとクラウド接続を前提としていますが、Beaconはそのどちらも使いません。
仕組み
処理は1台の機械の中で完結し、インターネットにはどこにも接続しません。まず各フレームを、学習不要のRetinex系手法で強調します。ピッチ時点の中核はXCRで、その不安定さを解消した後継のSD-Retinexは、もともとBeaconのような現場のために作った手法です。次に強調後のフレームに対して物体検出を行い、最後に同じ機械上の言語モデルが、検出結果を現場の人が対応できる形に変換します。
この最後の層はまだ構築中です。消滅可能性自治体の研究で扱った小規模言語モデルの手法を応用し、分野のデータで追加学習したモデルをローカルのハードウェアだけで動かす計画です。
きっかけ
この構想は事業計画からではなく、制約から生まれました。2025年11月のシンガポールで、あるセキュリティ研究者から、強調の数式を論文にする以外にどう使うつもりかと聞かれました。それまでに作ったものはすべて、クラウドを使わず目の前の機器だけで動く必要があり、その制約こそが、暗く機密性の高い現場に求められているものでした。
Tongaliビジネスプランコンテスト2026
Tongaliプロジェクト(名古屋大学)が主催するTongaliビジネスプランコンテスト2026のファイナル(2026年6月20日、名古屋市・中日ホール)で、「Beacon -低照度画像強調とローカルLLMを用いた完全閉域網型エッジAIシステムの提案-」として発表しました。チームは田 雨竜さん(広尾学園)、井下 敬翔さん(関西大学、消滅可能性自治体研究の共著者)と私の3名で、私が代表を務めました。結果はTongali賞(5位)、NICT賞、サポーター賞のBeyond Next Ventures賞とJR東海賞の4つでした。
Tongaliビジネスプランコンテストは、NICTが主催する全国規模の学生スタートアップコンテスト「起業家甲子園」の東海地区の連携大会で、NICT賞によりBeaconは2027年3月開催予定の起業家甲子園の出場候補になりました。出場は、担当のICTメンターによる事業計画のブラッシュアップの状況を踏まえ、2027年2月頃に決まります。
現在地
Beaconは学生による初期段階のベンチャーで、販売している製品はまだありません。現在は、言語モデル層の実装と、NICTのICTメンターとの事業計画の磨き込みを進めています。
写真

Beaconのピッチに向かう直前、Tongaliビジネスプランコンテスト2026ファイナル(2026年6月) 
Tongaliビジネスプランコンテスト2026ファイナルでBeaconを発表
受賞
Tongaliビジネスプランコンテスト Tongali賞 5位
共同 田 雨竜、井下 敬翔
共同 田 雨竜、井下 敬翔
Tongaliビジネスプランコンテスト サポーター賞 JR東海賞
共同 田 雨竜、井下 敬翔
Tongaliビジネスプランコンテスト サポーター賞 Beyond Next Ventures賞
共同 田 雨竜、井下 敬翔
基盤となる研究
SD-Retinex: A Stable Retinex Method for Low-Light Image Enhancement Designed Around the Sigmoid Derivative
シグモイド導関数を実軸上に移した学習不要のRetinex手法で、LOL eval15でPSNR 16.47dB、600×400・CPU1スレッドで約54FPS
